自傷の手段として性行為をしてしまう女性たち
本記事で想定している方々
- 児童虐待を受けていた/機能不全家庭で育った/性暴力を受けたなど、心の傷を抱えている方
- 自傷として/辛くなると分かっているのに性行為を進んで行っていた方
こんにちは、PERiPEN_です。
自分の心に傷を付けたくて敢えて性行為を選択したり、その選択を繰り返したりする女性たちが居ます。インターネットの普及により、当事者たちがそのような体験談を語ることが出来るようになり、その声が可視化されつつある状態です。
「女性たち」なんて書きましたが、自分自身もその一人です。Twitterでは似たような経験をしてきた女性たちとお互い言語化しあい、励ましあい、ユウ気を貰っていました。
自傷から遠ざかろう・自分を律しようと2020年の夏に決意してから、性行為そのものを一切避けていますが、先日のカウンセリング(被虐待経験の相談)によって相談員さんのおかげで「これだ!」という言語化ができました。昔、心療内科や精神科にかかりたくても医療につながれなかった頃はインターネットで「性行為 自傷」 「性行為 本当はしたくない」 なんてよく調べていたものです…。
今同じようにサーチしたり困っている方に、少しでも役立てばと思い、カウンセリングでの気づきを共有します。
心療内科とメンタルの経歴
本記事をより分かりやすくするため、自分のメンタル状態と医療の関係を時系列にまとめておきます。
- 17~23歳:自傷としての性行為をしていた時期
- 18歳~:「インターネットは詐欺師の巣窟」と言っていた親から離れたことで、インターネットを自由に使えるような精神状態になり、自分が受けていたのは虐待だったと判明する。毒親、アダルトチルドレンなどの単語を知り、そこから人格障害などについて調べ始める。「異性に依存せず自分で自分を幸せにする」「自分で成功体験を重ねて自尊心を高める」などをテーマにし、一人旅行や資格取得などに挑戦し続けていた。取り組んだことは無意味では無かったが、自分の心を救える活動にはなっていなかった。また、弟が惨殺される悪夢を見るようになったが、交際相手と隣で一緒に寝ている時は悪夢を見ずに済んでいた。
- 21歳頃(大学4年になる直前):自分には精神的か心療内科での治療が必要ではないかと自覚するが、口コミの良さそうな病院を調べても全く予約が取れなかった。そのうち就活が始まり、病院に電話をかける時間すらも無くなる。4年目から、親によって大学近くの下宿を退去させられ、奨学金口座も横取りされたため、交際相手の家に転がり込む。毎晩隣で寝ていたので悪夢から解放される。
- 22歳(社会人になり上京)~:悪夢が再発する。また、フェミニズムを知り、虐待や性被害について詳しい知識を付けていった。
- 23歳(2020年6月):大学時代からの交際相手と結婚の話が進んでいたが、相手の裏切りが発覚し、振ると同時に前述の「自傷(性行為)から遠ざかろう・自分を律しよう」を決意。
- 24歳(2021年8月):Twitterにて「わきまえない室田」というアンチ・フェミニストアカウントから複数回のセカンドレイプを受け、秋にかけて希死念慮が激化。希死念慮が限界まで高まると、「なるべく酷い目(性暴力)に遭ってから殺されたい」という欲求が高まってしまい、自分でコントロールできなくなる直前まで膨れ上がる。しかし新型コロナウイルスによって緊急事態宣言が発令されていたため、前々から希望しているカウンセリングルームの新規受付が何か月も停止中。夜にマンションの屋上に登る、外をふらつくなどするも、この時期に会社から表彰されたことや、こめるちゃん(同居のチャボ)を希望にして生き延びる。
- 2021年年末~:カウンセリングルームに通い始める。ついでに精神科で抗不安薬も処方してもらい、悪夢&それに伴う睡眠障害から解放される
したくない性行為を繰り返す心理
カウンセリングの初回と2回目に、「希死念慮やつらい気持ちを感じているときの体の感覚を覚えていてください」と説明を受けていましたが、そんな時の体の状態なんて気にしたことも無いし、気にできる余裕もないよ…なんて思っていました。
そんなPERiPEN_が「したくない性行為を繰り返す心理」について理解できた日のカウンセリング内容を、会話形式でお届けします!

今日はぺりさんの一番のお悩みを聞かせてもらいたいです。

(う~、性の話が関わるから女性カウンセラーさんでも話しづらい。。。
でも話すために来てるしお金払ってるんだし、頑張って話そう…!)

実は、希死念慮が高まった時や強烈な孤独を感じているときに、なるべく酷い目に遭ってから殺されたいという願望が膨れ上がるんです。
酷い目っていうのは性暴力のことで、17~23歳の時に、交際相手から心身に傷をつけるような性行為をリクエストされて、心はつらいけど応じていたことです。その頃はリクエストに応じるだけでなくて、奔放でもあったんですけど、本当はやりたくなかったことで…。
近年は自分を律していたけど、希死念慮が激しい時は、(なるべくやばそうな奴を見つけて性行為に及んで)その時の心のつらさを再体験したくて堪らなくなるんです…。
※泣いて鼻水ズビズビしながら話しています

(めちゃくちゃノートにメモる)

死ぬ間際まで、わたしを人とも思っていないかのような扱いをされたい…みたいな。
誰かに愛されたり好かれたり大切にされると不安でドキドキしてしまうし、嫌われているのがデフォルトだって思っています。
希死念慮の波に飲み込まれている時の妄想では、最期までつらいほうが安心するんです。
※普段はそんなこと思っていません。苦しみながら死ぬのも殺されるのもまっぴらごめんだよ…

これが認知の歪みってやつですか?
今後はこれを治していく感じなんですかね?
ここに来る人の中には死にたいって訴える人はたくさん居ると思いますが、わたしの「殺されたい」っていうのは死にたい気持ちとは別なのか、自分では分かりません…カウンセラーさん分かりますか??(質問しまくり)

(ひとしきり頭を抱えてう~んと唸った後で)
※困らせてすみません(´;ω;`)
人によって何に安心するかっていうのは違って、第三者から見ると明らかに危ない行為でも、本人にとっては安心を得られる行為だったりします。
それに、今まで経験してきた・慣れている状態を継続していたい、と思うのもよくあることです。
それにしても、こんなに大きくつらい感情を、よく抱えて生き延びてくださいましたね…
こういうつらい時の体の感覚って、例えば頭痛がしたり、…

(あーーっ寄り添ってくださってるところ悪いけど、体の感覚の話はよく分からないんだよ~どうしよう泣)

…したり、喉が詰まったり、胸に穴が開いたようにスース―したり、心臓がキュッとしたり…

…あ…!それです、心臓がキュッとします…!

当てはまるものがあって良かった!それって詳しく言うとどんな状態ですか?

ええと…心臓が小さく小さく収縮していって、極限まで小さくなって、もう消えてなくなっちゃうんじゃないかと思うような感覚です。胸の奥を刺すようなキリキリした痛みもします。
あれ…?えっと、これ、わたしが親から身体的虐待を受けていた時の感覚と全く同じ…です…。
暴力を受けている部位よりも、心臓の方が痛かったんです。

交際相手から望まない性行為を受けている時も、奔放だった時も、全く同じ感覚です…今まで気が付きませんでした。
わたしにとって性行為って、信頼できるたった1人の人とだけしたい行為で、そうじゃない場合は激しく嫌悪感があるんです。でも男性と付き合うと、わたしは相手のすべてを愛するし世界でたった1人の王子様くらいに思っているのに、数か月から数年の幸せを享受した後には彼からの「裏切り」に遭うっていうのがお決まりのパターンで。
※裏切り:浮気、性犯罪に遭ったわたしを責めるなど色々

…その時は一瞬、不幸に突き落とされたかのような気持ちになります。
でもすぐに、「あ、思い出した。これは不幸じゃない。これが普通だったんだ。これがわたしの本来の人生だったよね」と思えてきます。
心臓が小さくなっていく感覚を感じながら、自分はずっとこの感覚と共に生きていくべきだし、そうあるのが正常状態だと思って少し落ち着くんです。
そうか、つらいけど、懐かしい感覚だから、求めちゃうのかも…。

なるほど…
つまり「酷い目(性暴力)に遭ってから殺されたい」というのは、「体がよく慣れている感覚を再体験することで安堵したい」という要求なのですね。
決して味わいたくないし好きでもないつらい感覚だけど、その懐かしさに安堵することが、ぺりぺんさんにとっての「安心」なんですね。

また、死にたいというのは非常につらい感情ですから、自分で選択するのではなくて、誰かに終わらせてほしい・任せたいという気持ちになることもあるでしょう。その深層心理が「殺されたい」という言葉になっているのではないでしょうか。
ぎゃあ…やばい…憑き物が落ちたかのように言語化されました(´;ω;`) これで、今後また希死念慮に襲われたとしても、「わたしは懐かしさに縋りついて安堵を得ようとしているだけ。本当に酷い目に遭いたいわけでも殺されたいわけでもない」と思うことができる気がします!
ということで、今回のカウンセリングでの学びをまとめると
児童虐待/機能不全家族/性暴力にも様々な種類がありますし、それを受けた方々が一様に同じ精神状態になるわけでもありません。それでも、「したくない性行為を繰り返してしまう」という共通の悩みを持つ方に、少しでもお役に立てていれば幸いです。
※ぺりぺんがどこのカウンセリングに通っているかは公開できません。また、今のところにしか通ったことが無く、他のカウンセリング/医療機関との方針の違いがあったとしてもわたしには分かりません。。。つらい気持ちがある方には、ぜひ心療内科・精神科またはカウンセリングとつながってほしいと思いますが、ぺりぺんの友人は合うところが見つかるまで4箇所に通ったそうです。。。今現在病院を探している、これから探そうと思っている方に、良い出会いがありますように。